東京高等裁判所 昭和26年(う)5726号 判決
原判示四個の建造物が、いずれも、日本国有鉄道宇都宮駅構内にあること及び被告人が昭和二十六年六月二十七日午前七時四十分頃から同日午前八時三十分頃迄の間に右四個の建造物に順次立ち入つたことは所論のとおりである。しかし、建造物侵入罪は故なく他人の看守する建造物に立ち入ることによつて直ちに成立し、若し一旦これより退去すればその状態は消滅するものであるから、右退去後、再び該建造物或は更に別個の建造物に立ち入れば前の罪とは別に新たな建造物侵入罪が成立することは疑のないところである。それ故、犯人が相次いで多数の建造物に立ち入つたような場合はその各行為が極めて短時間内に為され、且つその各建造物が鉄道の駅の構内のような一定の敷地内に比較的近接して存在する場合でも、犯人に対する建造物侵入罪の罪数は犯人が右各建造物に立ち入つた回数と一致するものといわなければならない。
されば、原判決が被告人において原判示四個の建造物に相次いで立ち入つた所為を目して四個の建造物侵入罪が成立するものとし、これに対し、刑法第四十五条前段その他の併合罪の各規定を適用したのはもとより相当であるから、原判決には何等所論の違法はない。
論旨は理由がない。